気候の比較・違いから見る「大阪市」と「神戸市」【気象データ】

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大阪市・神戸市は都心間の距離は約30kmと、大都市同士としてはかなり近い距離にあります。

一方で、気候という面で見た場合、市内の地域ごとにもよりますが、全て似たような気候とは言えない場合もあり、地理的条件によって差が見られることもあります。

こちらでは、基本的な気象データの比較を中心に、大阪市・神戸市の気候の特徴を見ていきます。

気象台(都心部)で見た場合

年間平均気温(平年値)

項目大阪管区気象台神戸地方気象台
年間平均気温17.117.0
年間平均最高気温21.320.5
年間平均最低気温13.614.0
単位(℃)

大阪管区気象台・神戸地方気象台の「年間の平均気温」を見ると、ほぼ同じ数字です。

なお、「平均最高気温」については、大阪側がわずかに高く、「平均最低気温」については、神戸側がわずかに高い特徴が見られます。

月平均気温(平年値)

大阪管区気象台神戸地方気象台
1月6.26.2
2月6.66.5
3月9.99.8
4月15.215.0
5月20.119.8
6月23.623.4
7月27.727.1
8月29.028.6
9月25.225.4
10月19.519.8
11月13.814.2
12月8.78.8
単位(℃)

月平均気温については、どちらも温暖で比較的似た数字が見られますが、春から夏は大阪の方がわずかに高く秋などは神戸の方がわずかに高い特徴があります。

これは、神戸の方が「海洋性」の気候であり、海水温の影響を受けやすい(海水温は季節の歩みと比べ遅く上がり、遅く下がる)ことが関係しています。

月平均最高気温(平年値)

大阪管区気象台神戸地方気象台
1月9.79.4
2月10.510.1
3月14.213.5
4月19.918.9
5月24.923.6
6月2826.7
7月31.830.4
8月33.732.2
9月29.528.8
10月23.723.2
11月17.817.5
12月12.312.0
単位(℃)

月平均の最高気温は、神戸の方が「低い」特徴が見られ、特に夏場は差がある程度の幅になります。これは、海水温による影響を受けやすい神戸側で、昼間の気温が上がりにくい一方、観測地点がやや内陸側にある大阪側では、昼間の気温が上がりやすい点が関係しています。なお、夏はどちらも十分に「暑い」水準です。

月平均最低気温(平年値)

大阪管区気象台神戸地方気象台
1月3.03.1
2月3.23.4
3月6.06.3
4月10.911.4
5月16.016.5
6月20.320.6
7月24.624.7
8月25.826.1
9月21.922.6
10月16.016.7
11月10.210.9
12月5.35.7
単位(℃)

月平均最低気温は、少しだけ神戸側で高い傾向にあり、こちらも海水温の影響で朝晩の気温がやや下がりにくい点が関係しています。但し、大阪市も「ヒートアイランド現象」の影響が非常に強く、神戸と比べ特段気温が低いとは言えず、どちらも朝晩は周辺の内陸部と比べかなり温暖な地域と言えます。

降水量(平年値)

大阪管区気象台神戸地方気象台
1月47.038.4
2月60.555.6
3月103.194.2
4月101.9100.6
5月136.5134.7
6月185.1176.7
7月174.4187.9
8月113.0103.4
9月152.8157.2
10月136.0118.0
11月72.562.4
12月55.548.7
1338.31277.8
単位(℃)

降水量については、年間平均では大阪側でわずかに多く、神戸側でわずかに少ない数字ですが、体感的に違いがあるほどの状況とは言えません。

どちらについても「瀬戸内海側気候」のため、「晴れやすく、雨は少ない」傾向です。但し、特に梅雨時や台風の影響を受ける際には、かなりの大雨となる事例もあり、特に神戸側では六甲山地の影響から、1日の雨量が200mm以上となったケースが複数回見られます。

日照時間(平年値)

大阪管区気象台神戸地方気象台
1月146.5145.8
2月140.6142.4
3月172.2175.8
4月192.6194.8
5月203.7202.6
6月154.3164
7月184189.4
8月222.4229.6
9月161.6163.9
10月166.1169.8
11月152.6152.2
12月152.1153.2
2048.62083.7
単位(℃)

日照時間は、両気象台の傾向に大きな違いはありません。夏のゲリラ的な豪雨、夕立などでは天気がくっきり分かれることもありますが、局地的でない広い天気の変化という意味では、大阪で晴れている場合、神戸でも晴れている場合が多いと言えます。

風(平年値)

大阪管区気象台
(平均風速)
神戸地方気象台
(平均風速)
大阪管区気象台
(最多風向)
神戸地方気象台
(最多風向)」
1月2.43.9西西
2月2.43.6北北東西
3月2.53.6北北東
4月2.63.6北北東東北東
5月2.33.6北北東東北東
6月2.53.5北北東西南西
7月2.43.3西南西西南西
8月2.73.6西南西南西
9月2.63.8北北東東北東
10月2.53.7北北東東北東
11月23.5北北東東北東
12月23.9西西
2.43.6北北東東北東
風速の単位:m/s

風については、海により近い神戸地方気象台の方が、風速は明らかに大きい特徴があります。低気圧や台風などの影響を受ける場合、神戸地方気象台では、近畿地方でも特に強い風速が観測されるケースも少なくありません。

風向きについては、地形や海による影響を受けやすいため、両都市で主な風向には違いが見られる場合があります。

相対湿度(平年値)

大阪管区気象台神戸地方気象台
1月6162
2月6061
3月5961
4月5861
5月6164
6月6872
7月7074
8月6671
9月6767
10月6564
11月6463
12月6262
6365
単位:%

相対湿度で見た場合、両者に大きな差はありませんが、春〜夏に湿った海からの南風を受けやすい神戸地方気象台では、その時期は大阪側と比べ少し数字が高くなっており、夏場は平均値が全て70%以上となっています。

その他(平年値)

項目大阪管区気象台神戸地方気象台
年間雷日数17.314.0
年間霧日数2.01.0
年間降雪日数17.326.9
年間降雪量(cm)11
年間最深積雪(cm)11

大阪市と神戸市は、いずれも気象台では「霧」が非常に少なく、「雪」も非常に少ない特徴があります。積雪は「一度もない」年もごく一般的で、日本国内で見ても屈指の「少雪地域」です。

地域ごとの特性

大阪市内

大阪市内については、地域ごとの気候の差は神戸市と違い小さめです。但し大阪湾から吹き付ける「海風」の影響によって、昼間の気温などは地域によってやや大きな差が見られます。

具体的には、ベイエリア全体(舞洲・夢洲・咲洲・大阪港周辺その他)は、昼間に猛暑となるようなケースが、大阪管区気象台などのあるやや内陸側、都心部周辺と比べ明らかに少なく、「神戸の気温」によく似た環境となります。風も海沿いの方が強く吹き、内陸側ほど弱まる傾向がはっきり見られます。

神戸市内

神戸市内は、地域ごとの気候の差はかなり大きいため、「神戸の気候」と言っても、どこを指しているのかによって意味する内容が極端に変化します。

沿岸部・上述した「神戸地方気象台」の気候に近い
・温暖、気温差が比較的小さい、概ね晴れやすく雨はそれほど多くない
西部内陸部(西区など)・朝晩の気温差がやや大きい
・内陸ながら明石方面からの「海風」の影響で、昼間の気温はそれほど高くならない場合も
北部内陸部(北区など)標高が高く、朝晩の冷え込みが非常に厳しい
・冬場の朝は-5℃以下の気温が珍しくない場所も
・三宮など都心部とは「5℃以上」の気温差が生じるケースも多い
・冬場に雪が積もる、路面凍結するケース機会がやや増える
・海沿いと比べ夏の雷雨(夕立)がやや多い
六甲山周辺エリア・標高が高いエリアは、東北北部並みの平均気温のため、全く違う気候
・冬は非常に寒く、夏は明らかに涼しい環境
・降水量は平地と比べ多い
・雪は多くないものの、積もることは珍しくない

大阪市と比較した場合、大阪に近い気候となっているのは「沿岸部」であり、それ以外の地域は気温の違いなどが目立つため、大阪とは異なる気候と言えます。特に北区などの気候は、大阪とは極端な違いがあり、気温で言えば大阪よりも「仙台」などをイメージして頂く方が、まだ現実的な比較となります。

大阪と神戸、と一括りに言ってみても、実際のところ「神戸側」の気候はかなり多様ですので、単純な比較は難しいという点を理解しておくと無難です。

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